おまたせしました。別に待ってないか。

さて、
どんな山でも松茸が取れるというわけじゃない。
赤松があって、霧が巻いて、日も当たって‥
いろんな条件が満たされた山にだけ、
マツタケ様は、お出になる。
そんな山を持っている地主さんに交渉し、
ワンシーズン幾ら、という入札をすることで、
我々も松茸山に入る権利を手にすることができる。
この秋は、この山のここからここまで、
我が家の留め山というヤツだ。

もちろん自然が相手だから空振りすることも多い。
留め山の入札というのは丁半博打なのだ。
昨年なんかは、山はカラカラに乾燥していて、
毒キノコさえ生えてなかった。
だが今年の諏訪地方は豪雨の連続だった。
期待してよさそうな、初マツタケ狩りであった。

だがここまで採れるとは‥。

親父、オフクロ、俺と、山を縦に三分割して、
自分の範囲を丹念に見ながら、頂上へ頂上へ登る。
勾配はかなりきつい。木の枝やツルに捕まって、
よじ登るように上がっていくのだ。
数百メートルほど登ると、
エリンギに似た味のするコムソウというキノコ、
ナメコを大きくしたようなジコボウというキノコ‥。
美味いことは美味いが、本命ではないキノコ達が
ポコポコと顔を出して迎えてくれる。



これなら確かに期待できそうだ。でもご本尊様の気配がない。

すると、遠くの方から親父の声がした。
「おーい あったぞー」
我々も斜面を横に駆け抜け、親父のゾーンへ。
うむ。確かに小ぶりだが松茸。
今シーズン初の一本をうやうやしく引き抜く。
いける、いけるぞ!
負けてたまるかと自分のテリトリーに戻る俺。

目を血走らせながらさらに山を登ると、
ひときわきつい勾配に、神々しいお姿が。



かなりデカい!カサ開きだ!
しかも廻りにもいっぱい!!
「おーい 集合!」
両親を集めると9本の松茸をニヤニヤしながら確保。

そこからは、
わざわざ集合しなくてもいいくらいの松茸祭り。
コムソウ、ジコボウもコンスタントに採れ続け、
結局、腰につけたビク3つでは収まらなくなり、
ジャンパーの袖を結んで袋代わりにして、
それさえもいっぱいになった。


ニヤケタ顔で頂上に辿り着いた3バカ。
それぞれが採った合計を合わせたら、松茸30本!
と思っていたのだが、家で再カウントしたら、
なんと55本の日本新記録だった。




焼き松茸に、(誰かが釣った)松輪マダイと松茸の蒸し焼き。
松茸ご飯に、松茸のお吸い物。キノコの煮物。
親戚まで家に招いて、クンクンと秋のご馳走を堪能した。
夢中になって写真を撮るのを忘れたぐらいだ。

今日の日記は香りつきにしてみたので、

みんなもモニターに鼻を近づけてみよう。